かわいひでとし日記
思うこと、こころもち、脳内風景


2014.09.08    今けーったよ

 
今帰宅したこの男、左官業を営む 長兵衛さん、

職人だから、まじめに働けばそこそこい いお金を稼げるのに、

酒と博打で身を持ち崩し、家賃滞納、支払い延滞、借金で どうしても

暮れを乗り切れなくなってしまいました。



それを見かねた娘のお久、まだ17歳ですよ、

お久は、自分から吉原の遊郭に行っ て、

女郎になるからそのお金をおとっつあんにやって欲しいと言うのでした。




それを知った長兵衛さん、遊郭にとんで行きました。




女将さんは、


長兵衛さん、あんたいったいいくらあれば歳が越せるんだい?

と聞くのでした。













     50両。












そう、50両あれば、なんとか歳が越せる、、、。





そうかい、それじゃああたしがあんたに50両貸してあげるよ。

その代わり、お 久ちゃんはうちで預かりますよ。

だから長兵衛さん、来年の3月までに一生懸命働いて、

50両持って娘を引 き取りに来るんですよ。


お久ちゃんは、店には出さず、私の手元に置いて小間使いとして使っていてあげるけ

れど、3月までにお金を持ってこないその時にゃ、

かわいそうだが
この子はお店 へ出しますよ、というのでした。





ありがとうございます、と何度も礼を言って

大事に大事に懐に50両を持っての 帰り道、

隅田川のほとりで投身自殺しようとする若い男に出会います。



訳を聞くと、丁稚奉公で、集金してきた店の金50両をなくしてしまった。

そん な大金は一生働いても返せない、だから死んでお詫びをするのですと言うのでした。



かええそうだなあ、


おまえ、50両あれば死なずに済むんだな?





ほんとだな?











長兵衛さんは、その男に50両を渡してしまうのでした、、、。




続きは寄席か歌舞伎座でご覧くだされ。

心が洗われる様な気分になる、ほんわかする人情喜劇です。





そうかと思うと、詐欺、ゆすり、たかり、やりたい放題のこんな話も。

女装して武家のお嬢様に化け、家来役を従えて大きな呉服屋へ行き、

品物を見せ て貰っている最中に、懐から自分の品物をそっと出し、

またそっと懐へしまう。


それを見た店員が万引きだ!と詰め寄ると、

これは山形屋で買った品物、ちゃん と山形屋のマークも入っているし

レシートもここに有る。


お嬢様を万引き呼ばわりするとは、と激怒して見せるのです。


店の主人がこれでどうかご料簡ください、と20両を包むのですが、

こんなはした金で 料簡できると思うか!

100両ならば勘弁してやろう、と、、、。

ぬけぬけと言 い放ち、まんまと100両だましとるのだけれど、、、、。


続きは歌舞伎座でご覧ください(笑)




歌舞伎を観ていると、

世話物(せわもの = 江戸時代の現代劇)には、

50両 とか100両とか、お金の話が良く出てきます。



このお金の単位、1両というのは現代では一体いくらにあたるのか、、。

米価で換算すると、1両は5万円とか7万円とか、他の計算方法だと15万円と

か、色々な数字が有ります。


歌舞伎初心者に説明する時には、

芝居を観る時は、簡単に1両=10万 円だと思えばいいよ、といつも言っています。



娘を売った金が500万円。


にっちもさっちもいかなくなった長兵衛さんにとっては妥当な金額なのかも しれない。


もうちょっと余裕の有る人なら500万円で娘をとられるなんて、冗談じゃない

と思うでしょう。



「 武士の家計簿」を読んでいると、1両が現代ではいくらくらいか、というのが出て

きます。そこに新しく、(冒険的、とのことだが)賃金から類推した「現代感覚」

というのが書いてあって、1両は30万円くらいだと解説が有りました。



それでいくと、娘を売った金が1500万円。


万引き呼ばわりした落とし前が3000万円。


このあたりの感じ方、自分の生活、自分の感覚と比べてどうでしょう。


来年の3月までに返せば娘は無傷で戻って来るなら、

今どうしても必要なお金を 借りたいと思う金額が

「500万円」、なのか「1500万円」なのか、、、、。


まあ、現代の感覚で「娘を売る」と考えては1500万円だって安すぎるでしょ

うが、というか、娘は売らんでしょうが、

江戸時代、貧しい人は郭に身を売った時代の感覚として、ですね。


現代にも「売る」人はいます。昔みたいにいやがるものを無理矢理売り飛ばす

とかいうんじゃなくて、自分からやるのだと思いますが。「売」ってます。

五反田に住んでいるので、毎日そういうおねーちゃんたちとすれ違います。


よっぽど困ったのなら、それも有りだと思います。

借金したりするよりいいんじゃないかな、と思ったりもします。

本人がそうしよ うと思うのならそれでいいんじゃないかと思います。


これをなぜ法律で禁ずるのか、余計なお世話だと疑問に思ったりもします。

実際ヨーロッパのある国などでは、売春は違法ではなく、逆に性感染症だの暴力

団が絡むだのを防止する為に国が管理していたりしますね。



さて、 自分の生活はどの辺のレベルでしょう。

もし娘を売るならいくら?

500万? 1500万? 15000万? 150000 万?

それとも50万?



俺なんか、50万のくちだなぁ(笑)

 

お久ぁーー、かんべんしつくれぇ~





三遊亭円朝(1839~1900)
「人情噺文七元結」(にんじょうばなし ぶんしち もっとい)

河竹黙阿弥(1816~1893)
「弁天娘女男白浪」(べんてんむすめ めおのしらなみ)

 

追記

上の日記を書くとき、芝居のセリフがスラスラ出てくるのでした。

俺も結構な芝居好きなんだなあと思いました。

文中に書いてある「人情噺文七元結」のセリフは、舞台を思い出しながら書いたのですが、
その配役は、

長兵衛    七代目 尾上菊五郎
角海老の女将 七代目中村芝翫
文七     五代目尾上菊之助
お久     二代目 尾上右近
でありました。

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